LOGINグランド・キリュウ・ホテルの大宴会場。巨大なクリスタルシャンデリアの光の下で、蓮司は雷に打たれたように立ちすくんでいた。
手の中で光るスマートフォン。その画面に浮かぶ赤い数値が、目に焼きついて離れなかった。
【親子関係が成立する確率:99.99%】
喉がひきつり、息が上がった。
息を吸うたび、肺の奥まで鋭いガラス片が入り込むような痛みが、全身を襲う。
湊。
昨日、ルミエールの廊下に黄色い通園バッグを背負って、とことこと出てきた、小さな愛らしい子。
自分とそっくりな目元と鼻筋。興味を引かれると、少しだけ首をかしげる癖。あの4歳の子は、他人の子でも、久我悠真(くが ゆうま)の子でもなかった。紛れもなく、自分の実の息子だった。
――俺は……この手で、いったい何をした。
5年前、母の桐生雅子(きりゅう まさこ)が差し出した偽の慰謝料契約書。他人名義の口座と、合成写真。それらを紗月の顔に投げつけ、浴びせた残酷な言葉が、容赦なく耳の奥を打った。
『金さえあればいいんだろう。いくらでもくれてやる。二度と俺の前に現れるな』
あの冷たい刃のような言葉を全身で受け止め、紗月は自分の子を身ごもったまま、わずかな金すら持たず、身ひとつで路上へ追い出されたのだ。
蓮司は充血した目で、会場中央の壇上にいる紗月の後ろ姿を見た。スタッフたちに、照明の角度と装花の配置を指示している。
しわひとつないベージュのシルクスーツ。その細い肩で、現場を正確に、完璧に動かしていた。
あの小さな肩に、この5年間、どれだけの苦しみと孤独と絶望がのしかかっていたのか。想像すらつかず、蓮司は胸を潰されるような嗚咽を、必死にのみ込んだ。
グループの経営権を守るという卑怯な言い訳に隠れ、妻と子を地獄へ突き落とした。自分こそが、残酷な加害者だった。
蓮司は震える手で、神谷室長の直通番号を押した。
呼び出し音が1回鳴り、つながるなり、金属を擦るような荒い声が口をついた。
「神谷室長」
「はい、会長。どうされましたか」
「5年前の離婚の際、母が持ってきた一ノ瀬紗月代表の慰謝料契約書と他人名義の口座、それに合成写真。すべて一から調べ直せ。捏造の痕跡を、ひとつ残らず洗い出すんだ」
「会長、それでは、ご実家の桐生雅子様が直接関与された形跡も、すべて……」
「母だろうが誰だろうが関係ない。真実をねじ曲げ、俺の家庭を壊した者には、桐生の法務も資金もすべて使って、必ず相応の代償を払わせる。今すぐ取りかかれ」
鋭く命じて電話を切ると、蓮司は重い足で、よろめくように壇へ向かった。
ちょうど紗月が舞台とバージンロードの確認をすべて終え、タブレットを手に、靴音を響かせながらロビーの出口へ歩いてくるところだった。
蓮司は息を切らし、追い詰められたように、その行く手を乱暴に遮った。
「……紗月」
5年もの間、胸の奥に埋めていた呼び名が、乾いた唇からこぼれた。痛々しいほど切なく、震えていた。
乱れのない足取りが、ぴたりと止まった。
けれど、その澄んだ冷たい瞳には、わずかな動揺も浮かばなかった。
「公私の区別は、徹底していただけますか、桐生会長。本日の会場確認は、すべて滞りなく終了しております」
紗月は冷たく目を伏せ、脇を抜けようとした。蓮司は必死に、もう一度その前に立ち塞がった。
赤く血走った目が、すがるように彼女の顔を見つめる。
「湊……あの子は、俺の息子だろう?」
広尾の路地に、けたたましい警察のサイレンと、救急車の赤い光が走った。蓮司を追って急行した桐生秘書室の警護チームと警察が、宗一郎に雇われた男たちを、その場で取り押さえた。だが、その騒ぎは何ひとつ、紗月の目には入らなかった。地面に倒れ、血を流す蓮司を抱きかかえ、全身を震わせて泣いていた。真っ白だったシャツは、すでに暗い赤に染まり、脈も呼吸も、今にも途切れそうに弱かった。「蓮司……! お願い、目を開けて! 蓮司!」氷のようだった声が、抑えようもなく崩れ、悲鳴となった。薄れていく意識の中でも、蓮司は血のついた指を震わせ、紗月の涙を拭おうとした。「紗月……泣くな……湊は……湊は、けがしてないか……?」息も絶えそうな痛みの中で、ただ、彼女と子供の無事だけを尋ねる声。自らの命で罪を償おうとする、その痛ましい愛に、紗月の胸が引き裂かれた。「話さないで! お願い、しっかりして! お願い……!」救急隊が担架を持って駆け寄り、蓮司を乗せた。紗月は湊を強く抱き、救急車に同乗した。車内で、心電図モニターが鋭い警告音を鳴らした。心停止の危険が迫っていた。聖凛大学病院、救命救急センター。外傷蘇生室へ運ばれた蓮司の周囲で、救急医と脳神経外科の医療チームが、慌ただしく動いていた。「頭蓋骨骨折と脳出血、大量出血による循環血液量減少性ショックです! 緊急開頭術の準備と、血液の確保を!」担当医はカルテを確かめ、紗月に現在の状態を説明した。「緊急手術は、ご家族の同意を待たず、すぐに行います。血液型がO型のRhD陰性なので、血液センターと近隣の病院に支援を要請しています。手術中、大量の輸血が必要になる可能性もあります」その瞬間、紗月は数日前に見せられたDNA鑑定結果を思い出した。湊の新生児健康記録にも、同じ血液型が記されていた。血液型だけで親子を証明できるわけではない。それでも、紙の上の数字としてしか見ていなかったつながりが、血を失い横たわる蓮司を前に、残酷なほど生々しく迫ってきた。医事担当者に蓮司の個人情報と緊急連絡先を伝え、紗月は冷たい廊下の椅子に崩れ落ちて泣いた。手術室の扉が閉じ、「手術中」の赤い表示灯がついた。血に濡れたシャツの切れ端を胸に抱き、紗月は止めどなく涙を流した。遅れて病院に着いた悠真が、震える肩をそっと抱き、低く囁いた。「紗月……桐生蓮司は今
桐生グループ本社40階の大会議室。臨時取締役会の空気は、薄氷の上のように冷たく張り詰めていた。上座に陣取った第2位株主、宗一郎副会長が、傲慢な笑みで解任議案を振って見せた。「藤堂グループとの政略結婚を一方的に破棄し、数十億円の損失を出したうえ、株価を暴落させた。桐生蓮司代表取締役の解任を、正式に採決に付します」ざわめく取締役たちが、こぞって賛成に回ろうとした瞬間、扉が壊れそうな勢いで開いた。整ったスーツ姿の蓮司が現れ、ファイルをテーブルの中央へ投げるように置いた。「藤堂への違約金80億円は、私個人の資産で、すべて支払いを済ませています。桐生の法人に、1円の債務も損失も生じていません」冷たく威圧的な声が、会議室を制した。「そしてこちらは、桐生宗一郎副会長が過去3年間、海外のペーパーカンパニーを通して横領した、約40億円の伝票と他人名義の口座明細です。私を解任するか、それとも副会長を背任収賄の疑いで直ちに検察へ告発するか。取締役会でお決めください」宗一郎の顔が土色になり、全身が震えた。会議は、たちまち蓮司の掌中に収まった。だが、追い出されるように退出する宗一郎は、その脇を通り過ぎるとき、卑劣な笑みで囁いた。「会長の椅子を守れて、うれしいか、甥っ子よ。だが、今、広尾にいる、あのかわいい子は無事かな?」そのひと言で、蓮司の全身の血が冷えた。会議室を飛び出し、階段を駆け下りる。地下駐車場の専用車に乗り込み、広尾へ向かった。充血した目で前を見据え、ハンドルを握り潰しそうなほど握った。5年前、守れなかった妻と子の名を、血を吐くように繰り返した。――頼む……どうか、間に合ってくれ。今度だけは、命を捨ててでも守る。同じ頃、広尾。紗月の住む集合住宅の前の、静かな路地。通園バスを降りた湊の小さな手を握り、家へ歩いていた紗月の前に、ナンバープレートを隠した黒いワゴン車が、乱暴に割り込んだ。ドアが開き、人相の悪い男3人が鉄パイプを手に飛び降りた。湊へと、乱暴に腕を伸ばす。「ママ! うわあん!」湊が叫んだ。紗月は反射的に子供を抱き締め、全身を丸めてかばった。「その手を離しなさい! 誰か、助けて! 警察を呼んで!」必死に抵抗したが、屈強な男たちの力に、スーツが破れ、アスファルトへ叩きつけられた。男が鉄パイプを振り上げ、腕の中から湊を無理に引きはがそうとした
ルミエールの代表執務室の空気が、凍りついていた。紗月は差し出された信託契約書を指先で押し戻し、冷たく、きっぱりと言った。「ルミエールは、湊を守るために、私が5年かけて、血と汗を流して築いた会社です。安っぽい罪悪感に包んだ、同情まじりの保護なんて、ほんの少しも必要ありません」ぬくもりを一切許さない拒絶だった。それでも蓮司は、傷ついた目をしながら退かなかった。デスクの前で、静かに片膝をついた。「同情じゃない、紗月」声は、濡れた土のように重く、低かった。「5年前、母が横取りして裏金として洗浄した、慰謝料の5億円。そして、冷たい救急外来で、ひとりで子供を守らなければならなかった、あの地獄のような時間。これは、そのための当然の、正当な賠償です」赤い目で彼女の冷たい手の甲を見つめ、低く誓った。「取締役会に解任されても、持分も財産もすべて取り上げられても、かまわない。あなたと湊の行く手を阻む者がいるなら、俺の手で一族を潰してでも、排除します」権力も地位もすべて投げ出し、盾になるという、元夫の切実な誓いだった。言い訳もせず、ただ償いを口にする。その濡れた瞳を前に、冷えていたはずの紗月の胸が、どきりと沈んだ。揺れる気持ちを悟られまいと顔を背け、冷たく言い放った。「出ていってください。謝罪を受け入れるつもりは、少しもありません」これ以上苦しめまいとするように、蓮司は黙って頭を下げ、執務室を出た。その夜、広尾の紗月の家。幼稚園から帰って、リビングでおもちゃで遊んでいた湊が、テーブルの片隅にある、血のついたハンカチを見つけた。小さな手で拾い上げる。昨日、宴会場で紗月が蓮司に渡した、あのハンカチだった。「ママ! これ、雨の中で泣いてたおじさんのハンカチだよね……」湊は丸い目をぱちぱちさせ、母を見上げた。「あのおじさん、もう泣いてない? 手に血が出てたよ。ふーって、してあげた?」まっすぐな問いに、こらえていた涙が、胸の奥から一気にこみ上げた。紗月は湊を強く抱き寄せ、静かに泣いた。腕の中で、湊は小さな手で母の背中をとんとんと叩き、温かな言葉をかけた。「ママ、泣かないで。ぼくが守ってあげる」優しい声が、凍えた胸を包んだ。紗月は涙を拭き、子供の小さな額に口づけた。同じ頃、桐生グループ本社の大会議室。業務から外され、実家にとどまる雅子と手を組む男が、冷た
その言葉の直後、廊下で待機していた取材陣が、開いた扉へ押し寄せた。グランド・キリュウ・ホテルの大宴会場は、たちまち騒然となった。何十台ものカメラのフラッシュが焚かれ、リハーサルに来ていた両家の関係者のざわめきが、会場を覆った。「桐生蓮司会長! 今の破談のお話は、藤堂グループと事前に合意された決定ですか?」「一ノ瀬紗月代表! 5年前、桐生雅子氏が慰謝料の資料を捏造し、あなたを陥れたという疑惑は事実ですか? ひと言お願いします!」記者たちはマイクと望遠カメラを突き出し、操作卓のそばに立つ紗月へ、群れをなして押し寄せた。その危険な混乱の中、壇の下で膝をついていた蓮司が素早く立ち上がり、紗月の前を全身で塞いだ。純白のタキシードの上着を脱ぎ、彼女の肩をしっかり包む。広い体で、カメラもフラッシュも遮った。「秘書室の警護チーム、全員、操作卓の前へ! VIP専用の退場ルートを、今すぐ確保しろ!」指示とともにホテルの警備員が入り、取材陣とスタッフの間に通路をつくった。紗月はその手を振り払おうと身をよじった。しかし四方から押し寄せる人の圧力に、ハイヒールの足元がぐらついた。そのとき、反対側の警備用通路から、ホテルの警備チームを連れた悠真が現れた。紗月の手首を、優しく、けれど確かにつかむ。「紗月、こっちだ! 俺の車を、地下2階のセキュリティエリアに待たせてある」悠真に付き添われ、専用エレベーターへ逃れていく背中を、蓮司はカメラの包囲の中で、血のにじむ思いで見送った。紗月が無事にホテルを出たと確認してから、ようやく取材陣とマイクに向き直った。瞳は、霜より冷たかった。「本日明らかになった証拠と金融伝票は、桐生グループの公式広報を通じ、原文のまま公開します。今後生じるすべての法的・道義的責任は、私、桐生蓮司個人が負います」リハーサルでの破談が報じられると、桐生と藤堂の関係部署は、直ちに対応に追われた。市場が開くなり桐生の株価はストップ安となり、藤堂は数十億円の違約金請求と、すべての事業提携の解消を正式に発表した。桐生の取締役会と一族の勢力は、蓮司を背任と名誉毀損で追及し、緊急の会長解任案を提出した。破滅的な嵐のただ中で、蓮司はタキシードを脱ぎ捨て、シャツの袖を乱暴にまくり、ルミエールへ向かった。午後4時。東京・南青山のルミエール代表執務室。紗月は動揺す
グランド・キリュウ・ホテルの大宴会場。壮麗なアーチの下で、紗月の細い指先が、最後のスズランの茎を丁寧に整えた。オランダから直輸入した白いアジサイと、フランス製のクリスタルオーナメントが美しく調和し、純白のバージンロードの上に、まばゆい天の川を描いていた。柔らかなピンスポットが落ちるたび、クリスタルビーズが澄んだ光を放つ。会場全体に、一幅の名画のような気高い優美さが満ちていた。ルミエールの装花チームも舞台演出チームも、息をひそめ、完成した空間に見入っていた。そのときだった。バンッ!重厚なウォールナットの扉が、壊れそうな勢いで開いた。穏やかな静けさが砕け散る。豪奢なミンクのコートをまとった雅子が、4人の民間警護員を連れ、怒りに顔を歪めて入ってきた。「こんな汚らしい、縁起でもない花なんて、全部ひっくり返してしまいなさい! さっさと片づけて!」甲高い叫びが、宴会場の高い天井を突き破るように響いた。命じられた警護員たちは、舞台中央のフラワーアーチへ乱暴に手を伸ばし、備品を蹴り始めた。スタッフが青ざめ、悲鳴を上げて後ずさる。紗月はひるまず壇上へ上がり、雅子の前に立ち塞がった。そのまなざしは、氷河のように冷たく、揺るがなかった。「今すぐ、やめてください」明瞭な声が、会場の騒ぎを切り裂いた。「桐生雅子様。ここは藤堂グループと桐生グループの正式な契約に基づき、ルミエールが全権を委任され、管理する制限区域です。花びら1枚でも損なわれた場合、ご実家側に損害賠償を請求し、業務妨害について、直ちに民事・刑事の責任を問います」「何ですって? どこの馬の骨とも知れない小娘が、誰に向かって口を利いているの!」雅子は完全に理性を失い、喚きながら紗月に手を伸ばした。そのままメイン照明の操作卓を、丸ごと押し倒そうとした瞬間だった。バンッ!息を切らした蓮司が、扉を蹴破る勢いで駆け込んできた。黒い瞳には、血の涙にも似た怒りと殺気が燃えていた。蓮司は駆け寄ると、母の手首を押さえ、操作卓から引き離した。「母さん! 今すぐ、その手をどけろ!」雷鳴のような怒声が、会場を震わせた。雅子がバランスを崩し、よろめく。あとから入ってきたホテルの警備チームと桐生秘書室の警護員たちが、私設の警護員を備品から引き離し、制止した。蓮司は荒い息をつきながら、紗月の全身を確かめた。「紗月
田園調布の静かな路地の奥。赤松に囲まれた、旧邸宅を改装した貸切の茶房。ほのかな煎茶の香りが漂う離れで、怜奈は入ってきた蓮司を、茶碗を手にしたまま冷たく見た。スーツは隙なく整っていたが、顔に落ちる濃い影とこわばった顎には、拭いきれない疲れと罪悪感がにじんでいた。怜奈は挨拶ひとつせず、バッグから出した分厚い調査報告書を、テーブルの中央へ押し出した。表紙を見た瞬間、蓮司の顎が強くこわばった。5年前、雅子が紗月を陥れるために捏造した証拠と、紗月の救急診療記録だった。「5年前、桐生グループの経営権を継ぐために、母親の卑劣な捏造劇に目をつぶり、妊娠していた奥様に血の涙を流させた。その張本人が、桐生会長だったんですね」声は澄んでいた。だが、その中にある軽蔑は、氷の刃より鋭かった。「いちばん身近な家族さえ信じず、切り捨てた男を。私が、藤堂グループの生涯の事業相手として、そして夫として、信用できるとお思いでしたか?」厳しい非難にも、蓮司はひと言も弁解しなかった。書類を静かに見下ろし、低く重い声で答えた。「母のせいにはしません。妻を守れず、真実を見ようとしなかった。私の臆病さと傲慢さが招いた、取り返しのつかない罪です」まっすぐ、怜奈の目を見た。「この結婚を取りやめたいとお考えなら、破談に伴う違約金はすべてお支払いし、桐生の事業持分も、無条件で譲渡します。藤堂に1円の損失も出ないよう、私が全責任を負います」自分の過ちを正面から認め、数百億円規模の損失まで引き受けるという。その態度に、怜奈の目が意外そうに揺れた。あれほど傲慢だった巨大企業グループの総帥が、たったひとりの女への償いのために、すべてを投げ出そうとしている。怜奈はゆっくり茶碗を置き、冷ややかに口を開いた。「破談にするかどうかは、いつでも私が決められます。でも、一ノ瀬代表は、ご自身のキャリアと誇りを懸けて、この結婚式を最後まで完璧にやり遂げたいそうですよ」唇に、かすかな笑みが浮かんだ。「一ノ瀬代表の見事な実力とプライドを傷つけずに、あなたがどこまで償えるのか。見せてもらおうじゃありませんか」怜奈は茶碗を空にして、きっぱり席を立った。「結婚式の当日まで、見ています。一ノ瀬代表の完璧なお式に、少しでも傷がつけば、藤堂はその時点で、桐生との破談を正式に発表します」張り詰めた面会を終えた蓮司は、胸をな